肝臓班として、前半は急性ウイルス肝炎、後半は慢性ウイルス肝炎を中心に研究を行いました。

HBVの再活性化

(肝臓病)の「37)B型肝炎ウイルスの再活性化とは?」で述べましたが、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染している人において免疫抑制・化学療法によりHBVが再増殖することをHBV再活性化と言っています。血液悪性腫瘍の非活動性HBVキャリアにおいて、化学療法後にHBVが増殖して劇症肝炎を発症した患者さんで、HBV DNAのプレコア領域の遺伝子配列に変異がみられることを報告しました。

A型肝炎

(肝臓病)の「43)A型肝炎とは?」で述べましたが、肝炎ウイルスの1つのA型肝炎ウイルス(HAV)により引き起こされる急性ウイルス肝炎をA型肝炎とよんでいA型肝炎ます。A型肝炎の患者さんの血中HAV RNAを当時最先端のpolymerase chain reaction(PCR)法で測定し、過去の報告では、ALTが最高値を示す時期以後、血中にHAVは認めないとされていましたが、多くは14日まで検出できることを報告しました。

HBVプレコア変異

(肝炎ウイルス)の「5)B型肝炎ウイルスとは?(4)」で述べましたが、HBV DNAのコアプロモーターとプレコア領域の遺伝子の変異がHBe抗原陰性化に関わっています。B型急性肝炎の患者さんの血清で、コアプロモーターとプレコア領域の遺伝子配列を解析して、重症化との関連を検討し、プレコア領域の28番目の停止コドンへの変異が、急性肝炎の劇症化の発生に関連が深いことを報告しました。

HBワクチン

(肝臓病)の「19)成人に対するB型肝炎ワクチンは?」で述べましたが、B型肝炎(HB)の患者さんの血液に触れる可能性の高い医療従事者は、ワクチンの接種によりHBVに対する免疫(HBs抗体)を持つ必要があります。獲得されたHBs抗体が低下あるいは陰転化した際に追加接種を行っていましたが、時期を決めるために不必要な検査の省略が可能なHBワクチン接種ガイドラインを作成し、報告しました。