B型肝炎の経口薬治療

(肝臓病)の「9)治療の対象となるB型肝炎は?」で述べましたが、慢性肝炎・肝硬変の患者さんにB型肝炎ウイルス(HBV)の増殖に必要なDNAポリメラーゼを阻害してウイルスを抑える核酸アナログ製剤という経口薬が多く使われています。開業中に60人以上の患者さんで治療を行いました。副作用は少ない薬ですが、目標とするHBs抗原の陰性化に至った人は2人だけで、多く人は生涯服用を続けなければなりません。

C型肝炎の経口薬治療

(肝臓病)の「10)治療の対象となるC型肝炎は?」で述べましたが、C型肝炎の治療を初めは注射薬のインターフェロンで行っていましたが、開業して6年目の2014年よりDAA(直接作用型抗ウィルス剤)と呼ばれる経口薬のみの「インターフェロンフリー治療」ができるようになり、100人以上の患者さんで治療を行い、短期間で、副作用が少なく、95%以上の患者さんで、HCVを体内から排除することができました。

肝がんの早期診断

(肝臓病)の「12)肝がんとは?」で述べましたが、肝がんの早期発見は、治療の奏効率に影響するので、スクリーニングとして画像検査の腹部超音波は重要です。特にB型やC型ウイルス肝硬変など高危険群では、見落としがないように、血液検査のAFPやPIVKA-IIなどの腫瘍マーカーや画像検査の腹部CTやMRIも定期的に受けていく必要があります。B型とC型肝炎の経口薬治療を受けていた患者さんに数人づつで肝がんを早期に発見し、治療のため大学やがんセンター病院に紹介しました。

脂肪肝の治療                     

(肝臓病)の「24)脂肪肝とは?」で述べましたが、肝細胞内に脂質が過度に蓄積している状態を脂肪肝と言います。特に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)(代謝機能障害関連脂肪肝炎、MASHと改名)と呼ばれる脂肪肝では、肝線維化が進みやすく、肝硬変、肝がんへの進展が多くあります。脂肪肝の治療は禁酒と食事や運動など生活習慣の改善をして、体重の減量が基本となります。糖尿病を合併している患者さんには、開業して6年目の2014年より使えるようになったSGLT2阻害剤が体重の減量に有効でした。