胆嚢(たんのう)腺筋腫症(腺筋症)とは、胆嚢の壁が通常よりも厚くなる良性の胆嚢疾患です。
原因
胆嚢腺筋症は、胆汁の流れが悪くなり、胆のうの内圧が上がるとロキタンスキー・アショフ洞(RAS)と呼ばれる袋状のもの(憩室:けいしつ)が増殖し、胆のうの壁が厚くなります。RASは、胆のうの粘膜から、粘膜の下層にある筋肉層や筋層よりも下層にある漿膜層に向かって落ち込む形状をしています。袋の中は空洞で、胆汁などの水分が溜まり、壁内結石になることもあります。
分類
肥厚した胆嚢壁の部位によって全般型(びまん型)、分節型、限局型の3つの型に分類されます。分節型では胆嚢にくびれができるため、くびれの底部側に胆汁がうっ滞して結石が形成されることがあります。
症状と診断
多くの場合は無性状であり、胆のうポリープと同様に健診や人間ドックなどの腹部超音波検査で発見されることが多いです。胆嚢結石を合併したり、胆嚢炎を併発して時に腹痛を伴うことがあります。腹部超音波検査で診断される良性疾患ですが、肥厚した胆嚢壁の構造に不整あるいは断裂があるなどの胆嚢がんを疑う所見があれば、CT、MRI、超音波内視鏡(EUS)などにより精密検査を行います。
治療
腹痛などの症状がある場合や胆嚢がんとの鑑別が困難な場合には、胆嚢摘出術が行われます。胆嚢がんが疑われる所見がなければ、胆のうポリープと同様に、年1回の腹部超音波検査による経過観察を行います。