ナイアシンはニコチン酸とニコチンアミドの総称で、ペラグラの原因として知られるビタミンB₃とも呼ばれるB群の水溶性ビタミンです。
働き
ナイアシンは植物性食品中ではニコチン酸、動物性食品中ではニコチンアミドとして存在し、小腸で吸収されます。体内でトリプトファンから合成することもできます。ナイアシンは、脱水素酵素の補酵素として糖質、脂質、たんぱく質の代謝、エネルギー産生に関与しています。血管拡張作用、皮膚・粘膜などの新陳代謝の改善作用もあります。アルコールを分解する酵素の補酵素としての働きもあります。
不足による病気
トリプトファンの含有量が少ないとうもろこしが主食の地域の人やアルコールを多飲する人などでは不足が見られます。欠乏症としてペラグラが知られていますが、欠乏すると皮膚炎や口内炎などの皮膚粘膜症状、下痢などの消化器症状、うつ、幻覚、不安、耳鳴り、難聴など精神神経症状が現れます。過剰摂取により皮膚の紅潮や掻痒感などが起きる可能性があります。
多く含む食品
ナイアシンは体内でトリプトファンからも合成されるため、ナイアシン(㎎)+1/60 トリプトファン(㎎)=ナイアシン当量(㎎NE)で表します。1日のナイアシンの摂取推奨量は成人男性では14~15 mgNE、成人女性 では11~12 mgNEです。ナイアシンは、たらこ・まぐろ・かつお・さばなどの魚類、レバーなどの肉類などの動物性食品、まいたけなどのきのこ類、落花生などの豆類などの植物性食品に多く含まれています。
薬剤とサプリメント
ナイアシン製剤の経口薬(商品名:ニコチン酸アミド散10%)が、ナイアシンの欠乏が推定される口内炎、皮膚炎、急・慢性湿疹、末梢循環障害などの治療、消耗性疾患、妊娠授乳婦などの需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給に、ナイアシンとパパベリンを配合した製剤(商品名:ストミンA配合錠)が内耳および中枢障害による耳鳴の治療に用いられています。サプリメントは、アルコールを多飲する人に勧められます。