急性膵炎とは、膵液に含まれる消化酵素により膵臓自体が消化されてしまうことにより、膵臓に急激な炎症が起こる病気です。
原因
膵臓には膵液という消化酵素を作る外分泌という働きがあります。膵液は膵管という管を通って十二指腸に分泌され、消化酵素として活性化し、食物を消化します。何らかの原因で、膵液が膵臓内で活性化されると、膵臓が消化され、急性膵炎を生じます。急性膵炎の原因として多いのは、アルコールと胆石です。薬によるもの、内視鏡的逆行性膵胆管造影検査に伴うもの、先天的な膵臓の形の異常、脂質異常症(中性脂肪が高い)などが原因の場合もあります。
症状
急性膵炎の最も多い症状は、上腹部痛ですが、背部まで痛みが広がることもあります。時に黄疸、発熱を伴うこともあります。重症化すると、冷や汗・めまいなどの症状が出て血圧が下がり、脈が早くなってショック状態に陥り、意識が低下するなど命に関わる症状も出てきます。
診断基準
2008年に厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班が作成した診断基準によると、 1)上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある、2)血中または尿中に膵酵素(特異性の高い膵アミラーゼ、リパーゼなど)の上昇がある、3)超音波、CTまたはMRI検査で膵臓に急性膵炎に伴う異常所見がある、の3項目中2項目以上を満たし、他の膵臓疾患及び急性腹症を除外したものを急性膵炎としています。さらに重症度判定が行われます。
治療
急性膵炎の治療は、絶飲食による膵臓の安静と、十分量の輸液投与を行います。腹痛には、鎮痛剤を適宜使用し、膵臓の酵素を押さえる膵酵素阻害剤を使用します。重症膵炎においては、集中治療が必要なので、対応可能な医療機関に転送し、輸液管理に加え、多臓器不全対策、感染予防、栄養管理などが必要となります。