膵臓にできる腫瘍には、一般的に膵がんと呼ばれる悪性の腫瘍や、膵嚢胞性腫瘍、膵神経内分泌腫瘍などの腫瘍があります。膵がんについては、「12)膵がんとは?」で述べます。

膵嚢胞性腫瘍

腫瘍により分泌された粘液がたまった膵嚢胞を膵嚢胞性腫瘍とも呼び、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性嚢胞腫瘍、漿液性嚢胞腫瘍などに分類されていますが、最も多いのはIPMNです。膵液の通り道の膵管は幹に相当する主膵管から、枝に相当する分枝膵管が分かれていますが、主膵管型IPMNはがんになる可能性が高く、分枝膵管型IPMNはがんになる可能性は低いとされています。

膵神経内分泌腫瘍

神経内分泌腫瘍(NET)は、神経内分泌細胞からできる腫瘍です。NETは、膵臓、消化管、肺などの臓器にでき、膵臓にできるものをP-NETと呼びます。インスリノーマやガストリノーマなどホルモンを過剰につくり異常な症状を来す機能性NETと、ホルモンを産生しない非機能性NETに分けられます。

診断

腹部超音波検査にて偶然に指摘されることが多いですが、機能性NETでインスリノーマでは低血糖発作で、ガストリノーマでは難治の胃潰瘍で見つかることもあります。精査は造影CT、造影MRI、磁気共鳴胆管膵管撮影(MRCP)、超音波内視鏡(EUS)などの画像検査で行います。

治療

主膵管型IPMNでは、がんになる可能性が高く手術が勧められますが、特に主膵管の太さが10mm以上あったり、主膵管内部に隆起性病変が認められる場合には、強く勧められます。分枝膵管型IPMNでは、がんになる可能性は低いですが、嚢胞の大きさが3cm以上あったり、嚢胞内に隆起性病変が認められたり、嚢胞が短期間に急激に大きくなった場合には、手術が勧められます。P-NETの進行は比較的穏やかですが、急激に進行するものは注意が必要で、手術による治療が有効です。