膵臓にできる悪性腫瘍を膵臓がんと呼んでいます。

種類と原因

膵管上皮の細胞から発生する浸潤性膵管がんが最も多く、全体の80-90%を占めます。わが国の膵がんは近年増加傾向にあり、肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がんについで死因の第5位です。高齢の男性に多く発症します。飲酒、喫煙、膵がんの家族歴、糖尿病、肥満、慢性膵炎などとの関連が指摘されています。「11)膵臓腫瘍とは?」で述べた膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)や膵神経内分泌腫瘍(P-NET)は膵がんに進展することがあります。

症状

膵臓がんは発生しても症状が出にくく、早期には発見しにくいがんです。発見のきっかけになるのは食欲不振、体重減少、上腹部痛、腹部膨満感、腰や背中の痛み、黄疸などで、糖尿病の発症や悪化が発見のきっかけになることもあります。

診断

関連が指摘されている膵がんの家族歴、糖尿病、慢性膵炎などや腰や背中の痛みなどの症状があったり、血液検査の膵アミラーゼなど膵酵素やCA19-9、CEAなど腫瘍マーカーや腹部超音波検査で異常が見られたりすることにより、膵臓がんが疑われる場合には、造影CT、造影MRI、磁気共鳴胆管膵管撮影(MRCP)、超音波内視鏡(EUS)、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)などの画像検査で精査を行い、総合的に判断します

治療

膵臓がんの治療には、手術、薬物(化学)療法(抗がん剤)、放射線治療、免疫療法があります。がんが切除できる場合は、手術のみ、あるいは手術と薬物療法、放射線治療を組み合わせた治療を行います。切除できない場合は、主に薬物療法か薬物療法と放射線治療を組み合わせた治療を行います。免疫療法では、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ薬である免疫チェックポイント阻害剤が健保適用となっています。