ビタミンDにはD2からD7の6種類ありますが、高い生理活性を示すはビタミンD2(エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(コレカルシフェロール)の2つで、くる病の原因として知られる脂溶性ビタミンです。
働き
ビタミンDは食品から摂る方法と日光の紫外線がつくる方法があります。ビタミンD2の供給源は植物性食品、ビタミンD3の供給源は動物性食品と皮ふに含まれるプロビタミンD3で、肝臓と腎臓で活性型ビタミンDに変わり、カルシウムの吸収促進、骨の形成促進、骨量の減少抑制、血中カルシウム濃度の調節を行います。骨や歯の健康を維持し、神経伝達や筋肉の収縮などを正常に行い、体内に侵入したウイルスや細菌などに対して免疫機能を促進する働きもあります。
不足と過剰による病気
ビタミンDが欠乏すると低カルシウム血症となり、骨の軟化がおこり、成人、特に妊婦や授乳婦では骨軟化症、小児では足の骨が曲がったくる病、高齢者では骨粗鬆症になります。ビタミンDは過剰摂取により高カルシウム血症となり、胃、血管、心臓、腎臓などにカルシウムが沈着し、食欲不振、錯乱、見当識障害、心拍異常、腎機能障害などの症状が現れます。
多く含む食品
1日のビタミンDの摂取目安量は成人男女でともに8.5㎍です。ビタミンDは、しいたけ、エリンギなどきのこ類などの植物性食品、さけ、まぐろ、さば、さんまなどの脂肪性の魚類、卵類、乳類などの動物性食品に多く含まれています。
活性型ビタミンD3製剤の経口薬(商品名:アルファロールカプセル1μgなど)が骨粗鬆症の治療、慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、くる病・骨軟化症における低カルシウム血症などの改善、注射薬(商品名:ロカルトロール注1など)が維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症の治療、外用薬(商品名:ボンアルファ軟膏2μg/gなど)が乾癬・魚鱗癬など皮膚の角化症の治療に用いられています。サプリメントは日光を浴びる機会が少ない人などに勧められます。過剰摂取すると、症状が現れるので注意が必要です。