慢性肝炎および肝硬変のB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアと一部のB型急性肝炎が抗ウイルス療法の対象となります。

判断となる検査所見

肝機能検査の一つである肝臓の細胞が壊れると血液中に漏れ出てくるALTが31単位/L以上で、血液中のHBV-DNA量が3.3 Log国際単位/mL以上が6か月~1年以上続く慢性肝炎は、先々、肝硬変、肝がんへと進展することがあるので、抗ウイルス療法の対象となります。すでに肝硬変に進展している人は、ALTが正常値でもHBV-DNA量が少なくても対象となります。

核酸アナログ製剤

現在は 抗ウイルス療法として、HBVの増殖に必要なDNAポリメラーゼという酵素の働きを阻害してウイルスを抑える核酸アナログ製剤のエンテカビル水和物(商品名:バラクルード錠)とテノホビルアラフェナミドフマル酸塩(商品名:ベムリディ錠)という経口薬が多く使われています。有効性が高く、副作用は少ない薬ですが、最終の目標であるHBs抗原の陰性化に至るには、多く人は生涯服用を続けなければなりません。

インターフェロン

40歳未満の若い人には、抗ウイルス療法として、副作用は多くありますが、止めることのできるインターフェロンという注射薬が、肝臓専門医の判断で使われることがあります。核酸アナログ製剤と組み合わせて治療することもあります。

B型急性肝炎

HBVによる急性肝炎(B型急性肝炎 )は通常は抗ウイルス療法の必要はなく、食欲低下などの症状があれば水分や栄養補給などの治療を行いますが、基本的には無治療で自然にHBVが排除されます。但し、急性肝炎が重症化し、劇症肝炎が危惧される時には、 抗ウイルス療法などの治療が行われます。また、ヨーロッパ型の遺伝子A型のHBVによる急性肝炎はキャリアになることがあるので、経過により抗ウイルス療法が行われます。