黄疸(おうだん)とは、血液中のビリルビンという色素が増えて皮膚や白目の部分が黄色くなる状態です。
発生機序
(肝臓病)の「6)肝機能検査とは?」で述べましたが、赤血球が古くなって壊れるとヘモグロビンから水に溶けにくい黄色い色素の間接ビリルビンができます。肝臓に取り込まれて、抱合を受け水に溶けやすい直接ビリルビンになり、胆汁に溶けて肝臓から胆管を通り、十二指腸へと流れていきます。流れのどこかで障害が起きてビリルビンが増えると黄疸になります。
成因
原因となる部位により、肝臓に入る前、肝臓の中、肝臓を出た後に分けられます。肝臓に入る前では、赤血球が病的に壊されて起こる溶血性黄疸があります。肝臓の中としては、生まれつき肝臓でのビリルビンの処理が障害されている体質性黄疸、ウイルス肝炎などで肝細胞が壊される肝細胞性黄疸、原発性胆汁性胆管炎などで肝臓内の胆汁の流れが悪くなる肝内胆汁うっ滞などがあります。肝臓を出た後では、結石や腫瘍などで胆管がふさがる閉塞性黄疸があります。
症状
皮膚が黄色くなりますが、黄疸の有無は白目の部分(眼球結膜)が黄色かどうかで判断します。ミカンやカボチャなどを連日多く食べ、手のひらが黄色くなる柑皮症(かんぴしょう)では白目は黄色くなりません。原因によっては、全身がだるい、皮膚がかゆい、発熱、腹痛、尿の色が濃い、便が白いなどの症状がでます。
鑑別診断
血液検査でビリルビンの上昇があると黄疸と診断され、次に直接か間接のどちらのビリルビン優位か鑑別します。(肝臓病)の「6)肝機能検査とは?」で述べましたが、肝機能検査の結果と既往歴、家族歴、飲酒歴、薬物の服用状況、自覚症状、診察所見などと組み合わせて考え、肝炎ウイルスマーカー、自己抗体、腫瘍マーカーなどの血液検査や腹部超音波などの画像検査を追加して、黄疸の成因について検討します。診断がつけば、原因となる病気の治療が行われます。