B型肝炎(HB)ワクチンはB型肝炎ウイルス(HBV)感染の予防のためのワクチンです。ワクチンの接種によりHBVに対して感染防御機能(免疫)をもつ中和抗体としてHBs抗体ができ、HBVにかかりにくくなります。

HBVによる汚染事故

HBV陽性の血液や体液による針刺しなど汚染事故を起こした場合の感染率は約30%といわれ、C型肝炎ウイルスやヒト免疫不全(エイズ)ウイルスよりもかなり高率です。急性肝炎、時に劇症肝炎を発症する可能性があります。

HBワクチンの対象者

患者さんの血液や体液に触れる可能性のあるすべての医療従事者などは、HBワクチンを接種して、HBVに対して免疫(HBs抗体)を持つ必要があります。また、HBVは性行為でも感染するので、HBキャリアの性的パートナー(婚約者など)などもワクチンの接種が勧められます。

具体的スケジュール

ワクチンを接種前にHBVキャリア除外のためHBs抗原とB型肝炎の既感染者除外のためHBs抗体の血液検査をします。接種は4週間隔で2回、さらに2回目の接種から20週以上経ってから1回の計3回接種します。

ワクチン接種後の経過

3回の接種から4週以後にHBs抗体を測定し、10mIU/mL以上であれば、免疫ができたと判断します。HBワクチン3回接種者の90~95%にHBs抗体が獲得されますが、年々HBs抗体の値は下がっていきます。HBVに感染すると免疫能が反応し、HBs抗体が再上昇するので、透析患者さんなどを除き追加接種は不要とされていますが、慎重な意見もあります。