肝硬変に対する治療として、生活習慣を整える一般的治療と、原因を除く、肝機能を維持する、合併症を改善する、の3つの薬物治療あります。

一般的治療

一般的治療としては、禁酒・食事・運動・睡眠・便通などの基本的な生活習慣を整えることが大切です。食事については、バランスよく、カロリー・たんぱく質の摂りすぎに注意し、塩分は少なくします。運動については、肝臓病は安静が第一と以前はされていましたが、筋肉はアンモニアの解毒やエネルギーの産生など肝臓と似た働きもしていますので、筋力を低下させないように軽い運動をして筋力を保つようにします。

原因を除く薬物治療

原因がB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスであれば、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス剤の治療を行います。肝硬変に進展している人は、ALTが正常値でも、非代償性肝硬変でも、B型肝炎では核酸アナログ製剤、C型肝炎では直接作用型抗ウイルス剤という経口薬を服用します。

肝機能維持の薬物治療

肝硬変を発症すると大切なたんぱく質であるアルブミンが低下し、浮腫や腹水の原因となり、生命予後にも影響します。アルブミンの基になる分岐鎖アミノ酸(BCAA)の不足を補うために、BCAA製剤を服用します。とくに血液中のアルブミン値が3.5g/dL以下の時には、BCAA製剤の服用が勧められます。

合併症に対する治療

浮腫や腹水がある場合は利尿薬、食道静脈瘤がある場合は内視鏡による治療、脳症がある場合はアンモニアの吸収を抑える薬などそれぞれの合併症の治療薬を服用します。肝硬変が進行してこれらの治療を行っても十分な効果がなくなった場合には、肝移植の適応となります。