飲酒を原因としない肥満や糖尿病による非アルコール性脂肪肝の一部の人で、肝臓に炎症が起きると非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)(代謝機能障害関連脂肪肝炎、MASHと改名)へと進みます。

脂肪肝炎

脂肪肝炎とは、肝炎ウイルス感染などの原因がないにもかかわらず、肝臓に脂肪が沈着し、炎症を起こし、線維化していく肝臓の病気です。飲酒を原因とするアルコール性脂肪肝の一部の人は、炎症が起きてくるアルコール性肝炎(ASH:アッシュ)へと進みます。一方、飲酒を原因としない肥満や糖尿病による非アルコール性脂肪肝の一部の人でも、ASHと同様に炎症が起きるMASHへと進みます。

診断

初期にはほとんど自覚する症状はありませんが、進行すると疲れやすい、お腹が張る、食欲がないなどの症状がでます。血液検査と画像検査を組み合わせてMASHを疑います。確定診断は肝臓の組織を一部採取する肝生検で行いますが、「13)肝臓病の画像診断検査とは?」で述べた侵襲の少ない超音波あるいはMRIによるエラストグラフィは肝線維化の程度がわかり、リスク診断の一助となります。

治療

食生活を改善し、適度な運動をし、適切な体重コントロールが基本となります。現在、MASHに対する確立された特異的な治療薬はありませんが、背景にある生活習慣病の糖尿病、脂質異常症、高血圧症に対する治療薬の効果が確認されています。「26)脂肪肝と糖尿病の関係は?」でも述べます。

経過

ASHとMASHは共に肝硬変、肝がんへと進展することがあります。治療法が進歩し、ウイルス肝炎の治療が進歩し、ASHとMASHが原因の肝硬変、肝がんの割合が多くなっています。