慢性肝炎とは肝臓に炎症が6ヵ月以上続いている状態の肝臓病です。

原因

B、C型肝炎ウイルスが主な原因で、急性肝炎の発症後にウイルスが排除されず、キャリアになると慢性肝炎を発症します。「3)B型肝炎ウイルスキャリアとは?」で述べましたが、B型の場合、幼少期にキャリアとなった人からも発症します。肥満や糖尿病の人に多い非アルコール性脂肪肝炎(代謝機能障害関連脂肪肝炎と改名)、飲酒習慣がある人に多いアルコール性肝炎、女性に多い自己免疫性肝炎なども慢性肝炎の原因になります。

診断

自覚症状はないことが多く、急性肝炎の既往、家族歴などがない場合、健康診断などの血液検査でALTの上昇などの肝機能検査の異常で慢性肝炎が疑われます。肝炎ウイルスマーカーなどの血液検査や腹部超音波などの画像診断検査も加えて診断します。B、C型肝炎ウイルスは慢性肝炎の原因として多くを占め、放置すると予後も悪く、治療対象として重要です。

治療

慢性肝炎を引き起こした原因により治療法は異なります。原因がB型、C型肝炎ウイルスであれば、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス剤の治療を行います。B型肝炎では核酸アナログ製剤、C型肝炎では直接作用型抗ウイルス薬という経口薬を服用します。代謝機能障害関連脂肪肝炎の場合、食事習慣を見直し、体重を減らすことが大切です。アルコール性肝炎の場合、飲酒を控えることが不可欠です。自己免疫性肝炎の場合、副腎皮質ステロイド剤などによる薬物療法が治療の基本となります。

経過

慢性肝炎を放置すると、「8)肝線維化とは?」で述べましたが、肝臓の線維化がF0→3と進み、肝硬変(F4)、肝がんへと進展していきます。慢性肝炎、肝硬変、肝がんを併せてCLD(慢性肝臓病、慢性肝疾患)と呼んでいます。