自己免疫性膵炎とは、膵臓が腫れる、膵液が流れる膵管が狭くなる、血清IgG4値が高い、ステロイド治療が有効などを特徴とする自己免疫が関連した膵臓疾患です。

原因

免疫グロブリンの1つであるIgG4の増加との関連があり、炎症のある組織にIgG4を分泌する細胞が多数集まっているIgG4関連疾患と呼ばれる病気の1つです。自己免疫性膵炎では、膵臓が自己免疫による炎症で腫れ、膵管が壁の炎症で広範囲に狭くなります。さらに、胆管、唾液腺、涙腺、後腹膜、腎臓など膵臓とは別の臓器もしばしば炎症を起こして腫れます。IgG4関連自己免疫性胆管炎では胆管の壁が肥厚して狭くなります。

症状

急性膵炎や慢性膵炎でみられるような腹痛を起こすことは少なく、あまり症状は出ませんが、上腹部の違和感や背部痛、体重減少、食欲不振、倦怠感などで見つかることがあります。一番多いのは、膵臓が炎症を起こして腫れることで、胆管が圧迫されて胆汁の流れが悪くなり、黄疸が出て見つかります。糖尿病が急に悪化したり、他のIgG4関連疾患に続いて見つかることもあります。

診断

腹部超音波、CT、MRIなどの画像検査で診断をします。膵臓が炎症によって広範囲に腫れてしまい、膵臓の周りに炎症に伴う被膜様の構造物がみられます。通常膵臓は厚さが2cmほどですが、3cm以上に太くなることもあります。血液検査で膵酵素、肝機能検査の異常と、自己免疫性膵炎に特徴的なIgG4の上昇を確認します。膵臓がんとの鑑別のため、超音波内視鏡下穿刺吸引法を用いて膵臓組織を吸引して、病理組織検査をすることもあります。

治療

免疫を抑える副腎皮質ホルモン(ステロイド)剤による治療により、腫れた膵臓と狭くなった膵管は1カ月間ほどで改善します。しかし、ステロイド剤の内服を止めた後に病気がぶり返すことがあり、再燃防止のために少量のステロイド剤を続けます。