膵嚢胞(のうほう)とは、膵臓に形成された液体成分を内部に含む袋状のものです。
原因
先天的に発症することも、後天的に発症することもあります。後天的な要因には、急性や慢性膵炎や腹部の外傷や手術などによって、膵管が破綻し膵液が漏れてしまうことで引き起こされる仮性嚢胞と言われるものと腫瘍性のものがあります。腫瘍性のものについては、「11)膵臓腫瘍とは?」で述べます。
症状
多くの場合は無症状で、健診や人間ドックの時や他の肝臓病や胆道疾患の精査で行われる腹部超音波、CTなどの画像検査で偶然に病変を指摘されます。悪性の腫瘍(がん)と関連する膵嚢胞の場合には、病気の進行とともに体重減少、食欲不振、倦怠感などの全身症状が出現することがあります。
診断
腹部超音波検査にて偶発的に指摘されることが最も多く、指摘を受けた場合、がんの発生が懸念されるものであるかを判断するため、特に嚢胞の大きさが3cmを超えるものについては、CT、MRI、磁気共鳴膵胆管造影(MRCP)、超音波内視鏡(EUS)などの画像検査で精査を行います。直ちに治療が必要ないと判断されれば、超音波検査などで経過を観察します。
治療
膵嚢胞の種類によって異なります。膵炎や外傷による仮性嚢胞の場合、嚢胞内に細菌感染を起した時には、抗生物質による治療を行います。また、大きな仮性膵嚢胞で腹痛を生じた時には、EUSを用いてドレナージという治療をすることもあります。がんが疑われる場合には、摘出術が行われます。