B型肝炎ウイルス(HBV)の状態を示す血液検査で、HBs抗原、HBe抗原、HBe抗体、HBc抗体、HBV-DNAの5つがよく使われます。
HBs抗原
HBs抗原はHBV粒子の表面(surface)にあり、HBVに感染しているか否かのスクリーニング検査となります。HBs抗原の定量検査は経過観察、予後の指標として有用です。
HBe抗原・HBe抗体
幼少期に母子感染などでHBVに感染すると、HBs抗原に続いてウイルスの量や感染力の強さを示すHBe抗原が出現し、肝機能正常の無症候性キャリアになります。HBVキャリアの多くは10歳代後半から20歳代で肝炎を発症し、その中の85~90%はHBe抗原が消失し、HBe抗体が出現(セロコンバージョン)し、肝機能正常の非活動性キャリアとなります。
HBc抗体
HBc抗体はHBV粒子の芯(core)に対する抗体で、HBVキャリアでは高い値(高力価)、B型急性肝炎の既往では低力価になります。HBVキャリアか否かは、6か月以上に渡ってHBs抗原、HBV-DNA、HBe抗原のいずれかが陽性か、HBc抗体が高力価であることで判定します。
HBV-DNA
PCR法による高感度HBV-DNA定量は経過観察や治療の効果判定の指標となります。肝機能検査のALTが31単位/L以上で、HBV-DNA量が3.3 Log国際単位/mL以上の慢性肝炎の人が、「9)抗ウイルス療法の対象となるB型肝炎は?」で述べますが、核酸アナログ製剤による治療の対象となり、ALTの正常化、HBV-DNA量の陰性化が初期の目標となります。