肝臓にできる悪性腫瘍(がん)を肝臓がん(肝がん)と呼んでいます。肝がん全般について「肝がん白書(日本肝臓学会編集)」が参考になります。

種類

肝がんには、肝臓自体から発生する原発性肝がんと、肝臓以外の臓器に発生したがんが肝臓に転移した転移性肝がんがあります。原発性肝がんには、肝細胞から発生する肝細胞がんと肝臓内の胆管細胞から発生する肝内胆管がんがあります。一般的には肝臓原発の頻度の高い肝細胞がんを肝がんと呼んでいます。

肝硬変から肝がんへ

肝がんはB型およびC型肝炎ウイルスキャリアから慢性肝炎、 肝硬変へと進展した人から多く発症し、肝炎ウイルスが原因の肝硬変は、「肝がんの高危険群」と言われています。アルコール性肝障害、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎も肝硬変の原因となりますが、最近では非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)(代謝機能障害関連脂肪肝炎、MASHと改名)から肝硬変へと進展した人からの発症が増加の傾向にあり、注目されています。

肝腫瘍マーカー

腫瘍マーカーは身体にがんが潜んでいると高値になる血液検査です。肝がんではAFP(アルファ・フェト・プロテイン)や PIVKA-II (ピブカ・トゥー)と呼ばれるマーカーがあります。両方とも特異的で鋭敏なよい肝がんのマーカーです。但し、PIVKA-IIは ビタミンKの欠乏の人やビタミンKに拮抗する抗凝固剤のワーファリンを服用している人は異常高値となるので、判定に注意が必要です。

早期診断

肝がんの早期発見は、治療の奏効率にも影響するので、スクリーニング検査として行われる腹部超音波検査は重要です。特に高危険群では、見落としがないように、血液検査の肝腫瘍マーカーや画像検査の腹部CTやMRIも定期的に受けていく必要があります。日本肝臓学会ホームページ の「肝癌診療ガイドライン」の中の「(P28)サーベイランス・診断アルゴリズム 」が参考になります。