「12)肝がんとは?」で述べましたが、肝臓原発の頻度の高い肝細胞がんを一般的には肝がんと呼んでいます。肝がんの状態、肝機能により適した治療法が選択されます。

治療法の選択

肝がんが発症した肝臓の機能が不良(末期の肝硬変)の人は治療法が限定されます。「20)非代償性肝硬変とは?」で述べましたChild-Pugh分類でA、Bであれば肝がんの数と大きさ、脈管(門脈・静脈)への拡がり(浸潤)、他の臓器への転移により、総合的に評価して治療法が選択されます。日本肝臓学会のホームページ の「肝癌診療ガイドライン」の「(p76)治療アルゴリズム」が参考になります。

外科的肝臓切除(肝切除)

全身麻酔下に開腹または腹腔鏡下に肝がんを切除する治療法です。肝がんの数が1~3個で肝臓の一部分に限定し、他の臓器への転移がない場合、治療法として検討されます。

経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)

超音波検査で肝がんを描出し、ラジオ波を流す電極針を肝がんに穿刺し、発生した高熱でがん細胞を熱凝固壊死させる治療法です。肝がんの数が1~3個で、大きさが3cm以下で、他の臓器への転移がなく、脈管への浸潤がない場合、治療法として検討されます。

その他の治療法

肝切除、RFAが選択できない時には、肝がんが肝動脈から栄養を受けていることから、肝動脈の血流を止めることで肝がんを壊死させる治療法(塞栓療法)、抗癌剤を同時に肝動脈に注射する肝動脈化学塞栓療法、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ免疫チェックポイント阻害薬やがん細胞が生き延びるための血管新生を阻害する分子標的薬の投与、肝移植などが治療法として検討されます。治療後に再発が多いので、再発の早期発見が大切です。