C型肝炎の治療によりC型肝炎ウイルス(HCV)が消失した後も、肝がん発症のリスクは残り、経過観察の必要があります。
治療後の経過
C型肝炎に対する抗ウイルス治療によりHCVが体内から除去され、治療後12週間HCV-RNA陰性が続くと再度陽性となることはなくなります。治療の成功により肝がんを発症するリスクはかなり低下しますが、リスクは残り、ゼロにはなりません。
肝がん発症のリスク
線維化の進んだ慢性肝炎や肝硬変の人、特に肝がんの既往がある人は肝がん発症のリスクが高くなります。高年齢、男性、アルコールの多飲、肥満、脂肪肝、糖尿病などが発がんのリスクを高める要因となります。
定期的検査
「12)肝がんとは?」や「13)肝臓病の画像診断検査とは?」で述べましたが、肝がんの早期発見のため、治療後も腹部超音波検査(必要ならばCTやMRI検査)などの画像診断検査とAFP(アルファ・フェト・プロテイン)やPIVKA-II(ピブカ・トゥー)など肝腫瘍マーカーの血液検査をリスクの程度により3~6か月ごとに定期的に行っていきます。
経過観察の期間
通常は5年間経過をみれば大丈夫ですが、肝がんの既往がある人や、抗ウイルス治療前の肝線維化を評価する「8)肝線維化とは?」で述べましたFIB-4 indexが治療前に3.26以上と高値の肝硬変の人は、肝がん発症のリスクが高く、5年以後も経過観察が望まれます。肝がんを早期に発見できれば、選択できる治療法も多く、治癒する確率が高くなります。