HCV感染者の現状
日本におけるC型肝炎ウイルス(HCV)の感染者は150~200万人といわれていましたが、新たな感染の予防が進み、治療薬の開発によりHCVが陰性化するようになり、年々減ってきて、2015年の厚労省研究班の報告では90~130万人と推定されています。HCV感染者の中には、感染がわかっていない人やわかっていても通院していない多くの感染者が含まれています。
感染経路
(肝臓病)の「5)C型肝炎ウイルスキャリアとは?」で述べましたが、輸血の前の検査の励行や使い捨ての注射器の使用の普及により、現在はほとんどありませんが、HCVに感染した人の血液の輸血やHCVで汚染された注射器などにより感染します。覚せい剤の回し打ち、入れ墨、ピアスの穴あけもHCV感染の原因となります。母親からの母子感染、性行為によるHCV感染は少ないといわれています。
発症する肝臓病
(肝臓病)の「5)C型肝炎ウイルスキャリアとは?」で述べましたが、HCVに感染し、肝炎を発症すると、約30%の人は一過性の急性肝炎で治癒しますが、残りの約70%の人は体内にHCVを持ち続けるHCVキャリアとなります。HCVキャリアの多くは慢性肝炎を発症し、長期経過後に高率に肝硬変、肝がんに進展します。
肝外症状
HCVは肝臓以外の臓器にも障害を引きおこすことが知られるようになり、これらを肝外病変と呼んでいます。HCVが関係する肝外病変として、クリオグロブリン血症、糸球体腎炎、皮膚ポルフィリン症、シェーグレン症候群、慢性甲状腺炎, 悪性リンパ腫、扁平苔癬などがあげられます。発症機序がまだ明らかではないですが、HCVが肝細胞だけでなくリンパ球や種々の臓器の細胞に感染し、増殖することと自己抗体の出現率を高めことがわかっています。