急性肝炎とは短期的に肝臓に炎症が起き、肝細胞が攻撃され、肝機能に障害をおこす肝臓病です。

原因

ウイルス、自己免疫、薬物など様々なものが原因となりますが、重要なのは肝炎ウイルスが原因となるウイルス肝炎です。「1)ウイルス肝炎とは?」で述べましたが、A、B、C、E型肝炎ウイルスの4つが急性肝炎の主な原因となります。A、E型肝炎ウイルスは飲食で経口的に感染し、B、C型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染します。

診断

発熱、咽頭痛、頭痛などの感冒様症状が初めに出現します。特異的な症状は皮膚や眼が黄色くなる(黄疸)であり、同時期に全身倦怠感、食欲不振、嘔気、嘔吐などの症状が出現します。「6)肝機能検査とは?」で述べましたAST、ALT、総ビリルビンなどが著明に上昇します。原因については、肝炎ウイルスマーカーなどの血液検査を行います。A型ではIgM-HA抗体陽性、B型ではIgM-HBc抗体陽性が診断に有用です。

経過 

 急性肝炎は一般的には経過が良好ですが、時に重症化し、1~2%の人は「38)劇症肝炎とは?」で述べました致命的な劇症肝炎となることがあります。B、C型ウイルス肝炎はウイルスを体内に持ち続けるキャリアとなると、慢性肝炎をおこし、放置すると肝硬変、肝がんに進展することがあります。

小児急性肝炎
世界各国において小児における原因不明の急性肝炎が報告されています。世界保健機関(WHO)では原因特定を目的として、AST又はALTが500 IU/Lを超える急性肝炎を呈した16歳以下の小児のうちA~E型肝炎ウイルスの関与が否定された者と暫定的に症例定義を定め、各国に該当するケースの報告を求めています。原因としてアデノウイルスが候補にあげられています。具体的には 厚生労働省のホームページ の「小児の原因不明の急性肝炎について」で確認できます。