肝臓に慢性的に炎症が続くと、炎症により破壊された肝臓の組織が線維化(瘢痕化)し、線維化が続くと肝臓組織の構築が崩れ、硬い結節状の肝硬変へと進んでいきます。
成因
C型肝炎ウイルス(HCV)やB型肝炎ウイルス(HBV)のキャリアから発症した慢性肝炎が主要な成因となります。肝硬変の原因の約50%がHCV、約10%がHBVです。アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、うっ血肝なども肝硬変の成因となります。
症状
肝臓は大きな臓器なので、症状は出にくい「沈黙の臓器」と言われていますが、全身がだるい(全身倦怠)、食欲がない(食欲不振)、お腹が張る(腹部膨満)、皮膚がかゆい(皮膚搔痒)、こむら返り(筋痙攣)などの症状が出現してきます。
診断
自覚症状、診察所見、飲酒歴、家族歴などと、AST、ALT、γ-GTP、アルブミン、総ビリルビンなどの肝機能、肝炎ウイルスマーカー、自己抗体、肝線維化マーカーなどの血液検査や腹部超音波などの画像検査、上部消化管内視鏡検査などを総合して、肝硬変の診断を行い、原因について検討します。血液検査で血小板数の低下も肝線維化の指標として有用で、10万/μl以下になると肝硬変の可能性が高くなります。正確には肝臓の組織を採取(肝生検)して顕微鏡で観察して評価します。
経過
進行して、肝機能が低下してくると、皮膚が黄色くなる(黄疸)、血が止まりにくい(出血傾向)、全身がむくむ(浮腫)、お腹に水が貯まる(腹水)、意識が混濁する(脳症)、食道や胃に静脈瘤ができる(門脈圧亢進症)などの症状が出現し、肝がん発症のリスクが高まります。