肝硬変の初期はほとんど症状はなく、この時期は代償性肝硬変といいます。肝硬変が進行し、肝機能が低下すると、症状が出現する非代償性肝硬変となります。

症状

「7)肝硬変とは?」で述べましたが、非代償性肝硬変になると、全身がだるい(全身倦怠)、食欲がない(食欲不振)、お腹が張る(腹部膨満)などの症状が出現してきます。さらに進行してくると、皮膚が黄色くなる(黄疸)、血が止まりにくくなる(出血傾向)、全身がむくむ(浮腫)、お腹に水が貯まる(腹水)、意識が混濁する(脳症)などの重い症状が出現してきます。

診断

肝硬変を分類するのに、肝予備能を評価するチャイルド・ピユー(Child-Pugh)分類がよく用いられます。詳細は次に述べますが、代償性肝硬変はChild-Pugh分類のグレードA、非代償性肝硬変はChild-Pugh分類のグレードB、Cです。Child-Pugh分類は抗ウイルス療法の選択、肝がんの治療法の選択、身体障害者手帳の申請などの指標として使われています。

Child-Pugh分類

合併症による症状の脳症と腹水、肝機能検査で黄疸の指標となる血清総ビリルビン値、浮腫の指標となる血清アルブミン値、出血傾向の指標となるプロトロンビン活性値の5項目を3段階に軽い順に1、2、3点と点数化し、合計点数により低い順からグレードをA、B、Cに分類しています。点数が高いほど症状が重く、治療が難しく、予後不良で、致死率が高くなります。

死因

生命予後に大きな影響をもたらす肝硬変の合併症は、肝がん、消化管出血(食道胃静脈瘤の破裂など)、肝不全(肝性脳症の進行など)の3つです。1990年以降内視鏡的治療の発達で消化管出血による死亡は改善され、肝不全対策も進歩した結果、肝硬変の死因の大半を肝がんが占めるようになっています。