皮膚の見た目には異常がないのにかゆみの症状だけある皮膚掻痒症は、肝臓病が原因となることがあります。

皮膚搔痒症の原因

皮膚掻痒症のかゆみは全身のあらゆるところにでて、ずっと続くこともあり、夜間に寝られないこともあります。主な原因は皮膚の乾燥、服薬している薬、内臓の異常の3つです。いちばん多いのは皮膚の乾燥(ドライスキン)によるものです。かゆみの原因となる薬としては、麻薬、ホルモン剤、利尿剤、解熱鎮痛剤など多岐にわたります。内臓の異常によるものとしては、肝臓病、腎不全、糖尿病、甲状腺疾患、がんなどが原因となります。

原因となる肝臓病とかゆみの特徴

肝臓病におけるかゆみは、慢性肝炎、肝硬変、原発性胆汁性胆管炎(PBC)などでみられます。PBCではかゆみは初期から現れます。肝臓病によるかゆみは、かいてもかゆみが治まらない、全身にあらわれる、かゆくて眠れない、一般的なかゆみの薬が効きにくいなどの特徴があります。また、肝臓の機能が低下し、皮膚が黄色くなる黄疸の症状がでると、強いかゆみを生じる場合があります。

肝臓病での皮膚掻痒の機序
肝臓病のかゆみは、体内の2種類のオピオイドという物質のバランスの崩れによって引き起こされ、脳が直接刺激されて感じる中枢性のかゆみと考えられます。また、黄疸によりかゆみが強くなるのは、増加した血清ビリルビンが皮膚の末梢神経を刺激するためと考えられています。

肝臓病での皮膚搔痒の治療

肝臓病のかゆみの一番の治療は、肝臓病そのものを改善させることです。肝臓病のかゆみには、皮疹などの末梢性のかゆみに効く抗ヒスタミン薬の効果は低く、肝臓病のかゆみの原因であるオピオイドのバランスを元に戻して、かゆみを抑えるナルフラフィン塩酸塩(商品名:レミッチ、ノピコール)が有効です。