こむら返り(足がつる)は、肝臓病が原因となることがあります。
こむら返りとは?
激しい痛みを伴う突然に筋肉がけいれんする有痛性筋痙攣は、ふくらはぎ(こむら)に起こりやすいため、足がつるとも表現されますが、こむら返りと呼ばれています。激しい運動をした後や寒い環境にいた時に起こりやすく、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの電解質異常、耐糖能異常などが原因で生じるといわれています。
肝臓病とこむら返り
こむら返りは、全身がだるい(全身倦怠)、皮膚がかゆい(皮膚搔痒)と伴に肝臓病の3大症状といわれています。肝臓病の中でも肝硬変に起こりやすく、肝硬変の重症度が高くなるに従いその頻度も増加します。
肝臓病のこむら返りの発生機序
肝臓病のこむら返りの原因の1つに、アミノ酸の代謝異常があります。肝硬変になると分岐アミノ酸(BCAA)が低下、芳香族アミノ酸が上昇し、肝性脳症の発症にも影響しますが、 必須アミノ酸の1つであるメチオニンも利用されにくくなり、高くなります 。メチオニンからは、タウリンやカルニチンが生成されますが、 タウリン、カルニチンとも筋肉維持に非常に大切であり、これらが不足するとこむら返りを起こしやすくなります。
肝臓病のこむら返りの治療
肝臓病が原因のこむら返りの一番の治療は、肝臓病そのものを改善させることです。漢方薬の芍薬甘草湯は即効性があり、肝臓病のこむら返りにも広く使われています。不足するBCAA、カルニチンを補充するBCAA製剤、カルニチン製剤も有効とされています。