肝細胞内に中性脂肪などの脂質が過度に蓄積し、全肝細胞の30%以上が脂肪化している状態を脂肪肝(脂肪性肝疾患)といいます。

原因

脂肪肝はアルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝に分けられます。アルコールを飲みすぎ、毎日純アルコール量60g(日本酒3合相当)(女性は50g)以上のアルコールを飲む人の多くに脂肪肝が認められます。また、男性で毎日純アルコール量30g(日本酒1.5合相当)、女性で純アルコール量20g(日本酒1合相当)より少なくても、栄養バランスの偏った食生活や慢性的な運動不足など生活習慣の乱れからくる肥満や糖尿病によっても非アルコール性の脂肪肝になります。「25)非アルコール性脂肪肝炎とは?」でも述べます。

診断

健康診断や人間ドックで発見されることが多く、ほとんど自覚する症状はありませんが、進行すると疲れやすい、お腹が張る、食欲がないなどの症状がでます。AST、ALT、γ-GTP、コリンエステラーゼなど血液検査と腹部超音波やCTなど画像検査を組み合わせて診断します。

治療

脂肪肝の治療は禁酒と低カロリーと栄養バランスのよい食事や適度な運動など生活習慣の改善をして、体重の減量が基本となります。糖尿病など合併症に対して、治療薬が必要になることがあります。「26)脂肪肝と糖尿病」でも述べます。

予後

脂肪肝は肝硬変、肝がんに進展することもあり、「8)肝線維化とは?」の項で述べましたが、肝線維化を示す FIB-4 インデックスが2.67 以上で肝がんの発症率が高くなります。線維化が疑われる時は、肝臓専門医の診療を受けると良いと思います。また、最近の研究から、脂肪肝は心筋梗塞や脳梗塞の原因となる動脈硬化のリスクを高めることもわかってきました。