脂肪肝は糖尿病の合併症の一つで、糖尿病は脂肪肝が肝硬変や肝がんへ進展する危険因子として重要です。

1型と2型糖尿病

食事をして、炭水化物中の糖が腸から吸収されると、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが働き、血液中の糖の量をコントロールしています。糖尿病には膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞が障害されてインスリンを産生できなくなり、高血糖が続く1型糖尿病と遺伝的な要因に運動不足や食べ過ぎなどの生活習慣が加わって発症すると考えられている中高年に多い2型糖尿病があります。2型糖尿病が90%以上を占めます。

インスリン抵抗性

2型糖尿病には、すい臓からインスリンの分泌が減っている人とインスリンが分泌されているにもかかわらず、インスリンの効きが悪い(インスリン抵抗性がある)人がいます。インスリン抵抗性があると、過食や運動不足などにより、糖が過剰になるとコントロールできなくなり、中性脂肪に変換されて肝臓に貯まり、脂肪肝になってしまいます。

非アルコール性脂肪性肝疾患

この脂肪肝はアルコールや肝炎ウイルス感染などと関りがなく、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患、MASLDと変更)と言われ、この中に、「25)非アルコール性脂肪肝炎とは?」で述べましたが、炎症を起こし、線維化していく非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)(代謝機能障害関連脂肪肝炎、MASHと改名)があります。

治療

脂肪肝も糖尿病も食生活を改善し、適度な運動をし、適切な体重コントロールが基本となります。糖尿病治療薬の中で、ピオグリタゾン、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害剤が、MASLDとMASHに対して有効性が示されています。「NAFLD/NASH診療ガイドQ&A(日本消化器病学会・日本肝臓学会編集)」(改定中)が参考になります。